英語の発音を気にしすぎる日本人
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ある芸能人が、英語学習の動画をアップロードしていた。発音のお手本にはアメリカ英語を選んだという。
イギリス英語の発音は、アメリカ英語の発音に比べてカタカナ発音に近い。それゆえカタカナ発音のクセを抜くのが難しい。かなり上達してもカタカナ発音が出てしまう。自分はそういう人をたくさん見てきた。それでアメリカ英語を選んだと。
彼の言っていることは理解できる。僕はイギリス英語の発音を習得しようとしていて、まさに彼の言う壁に日々ぶつかっているからだ。
ただ、この記事で問題にしたいのはそのことではない。彼が使っていた表現についてだ。上記の話をしている時に、日本語訛りの発音を「汚い」と言っていた。僕にはこれがかなりショックだった。
こういうことを日本人自身が言う。根深い問題があるように思う。
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「東北訛りを直して、きれいな標準語で話そう」
「3ヶ月の訓練で東京出身と間違われるほどになりました」
こんな宣伝文句を見たらどう思うだろうか。不快になっただろうか。でも英語の発音となると、多くの日本人がこういうのに飛びつく。日本の英語学習の世界にはこういうのが蔓延している。ネイティブ発音信仰だ。
訛りには、相手に通じるものと、通じないものがある。通じないのは直さないといけないが、通じるのであれば、それ以降どうするかは個々の事情次第だろう。矯正は必須ではないはずだ。
アナウンサーになりたいのなら直さないといけないが、単に外国人と交流したいだけなら、通じれば事足りる。
ただしカタカナ発音でOKとは思わない。これは強調しておきたい。語学というのは、基本的にネイティブのコピーをするものだ。それでも母語の訛りは残る。それを気にしすぎるのは良くないという話をしている。
初めからコピーしようともしないのはダメだ。たとえば「California」という音を聴いて「カリフォルニア」と発音しているようでは、聴いていないのと同じだろう。言語を習得する気がないように見える。
ちゃんと聴いていれば、せめて「キャラフォーニャ」「カラフォーニャ」みたいになるだろう。少なくとも「カリフォルニア」にはならない。
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僕の目標は英文が読めるようになること。そしていろいろな国の人と交流できるようになることだ。だからネイティブ発音にこだわる必要はない。それでも、ネイティブ発音を目指しているのは、単に習得したいからだ。
ある時、ネット上でブリティッシュ・アクセントを聞いて衝撃を受けた。それまでに聞いていた英語(アメリカン・アクセント)と全然違う。とても心地よかった。ぜひとも自分でも話せるようになりたいと思った。
他人には「通じればいい」言いながら、自分自身はネイティブ発音を目指しているのは、こういう事情があるからだ。特に発音に対する憧れもなく「通じればいい」という人は、そこまで発音にこだわる必要はないと思う。
くり返すが、発音なんてどうでもいいとは思わない。ただ発音に対する姿勢が異常な人が多いので、改めてもらいたいのだ。
たとえば、日本人の有名人が英語でスピーチをする。それをYouTubeに投稿する。コメント欄はどうなるか。おそらく発音に関するもので埋まる。内容なんて誰ひとり聞かない。誰も彼もが、発音・発音・発音。
空疎な内容であろうと、幼稚な内容であろうと関係ない。ネイティブに近い発音であれば称賛される。「英語うまいですね」「帰国子女みたいだ」といったコメントが溢れる。ネイティブの出す音に似てさえいればいいのだ。
いったい言語を何だと思っているのか。楽器の演奏か何かだと思っているのか。
言語は意思の疎通のためにある。このことを忘れないでほしい。そうすれば、発音にしか興味がない上記のような人間にはならないはずだ。
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【筆者の活動】
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