女男男の真ん中っ子2 ~僕だけが実家ぐらしの理由~
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(画像は本文とは関係ありません)
本稿は下記の記事を補うもので、小説で言えばサイドストーリーに当たる。
僕の姉と弟は自活している。僕だけが実家ぐらしで親のすねをかじり続けている。理由はある。
まず姉はきょうだいの中でただ1人の女だ。実家には居づらさがあったのではないか。早く実家から出たい気持ちが強かったと思われる。
通学に1時間半もかかる都心の高校に通っていた。ちょうど高校受験と引っ越し(岩手→埼玉)が重なった関係で、申込期間が折り合わず、選べるほどの高校が残っていなかったためだ。ただでさえストレスの多い年頃に、辛かったと思う。15歳からサラリーマンさながらに、都心と埼玉を往復する生活を続けたことで、自立心が芽生えた面もあるのではないか。
中学の頃は3年間で3回転校し、4つの学校に通った。思えば姉の思春期は波乱万丈だ。こうした受難が彼女を鍛えたように思える。
***
一方、弟は中学に上がるタイミングで埼玉に引っ越してきて、後は定住だ。安定している。これが逆に彼を自立へと導いた。
彼は僕と同じく高校生活でつまずき、通えなくなってしまった。それ以降、近所を歩くのがとても嫌だったらしい。中学時代の友人に会うからだ。実家を出て違う街で暮らしたい気持ちが高まっていった。
この悩みは僕にはない。中学卒業のタイミングで引っ越してきたから、近所の知り合いがいないのだ。おかげで、不登校でも無職でも、外出に抵抗がなかった。
僕は通信制高校を経て大学に進学したが、弟は通信制もやめてしまった。ところが彼は僕と違って働くことができた。だから一人暮らしへと移行することが可能だった。
弟が実家を出たのは20代半ばのことだ。ある日、僕は彼に暴力を振るわれた。僕の言葉が彼を激昂させ、このような事態になった。一切やり返さなかったので、僕だけが負傷した。彼はこれで実家に居づらさを感じたのか、数週間後にはいなくなった。
この事件について説明する。
僕と弟はそれぞれ個室を持っていた。お互いインターネットが好きで、自室でネットライフを楽しんでいた。無線LANではなく、電話回線を介して接続していた。
当時、うちのマンションの回線はよく切れた。電話線の差込口とルータが弟の部屋にしかなかった。そのため、僕はネット回線が切れるたびに弟の部屋に入った。ルータの動作確認や再起動のためである。弟はこの状況を嫌がっていた。でもその頃は回線トラブルが頻繁にあり、やむを得なかった。
彼の部屋は足の踏み場もないぐらいに物が散乱していた。食べ物のゴミなども多く、ひどいものだった。ある日それを指摘したところ「勝手に人の部屋に入っておいて……」と激怒し、手を上げた。
このような顛末なのだが、結局のところは、プライバシーを守れない不自由な実家に嫌気が差したと言える。ルータ云々の話がなくとも、いずれ弟は出ていったように思う。
僕の方が出ていくことはなかっただろう。なぜならそこまで稼げたことがないからだ。フルタイム労働は2ヶ月が最長で、あとは3時間程度のパートタイムが限度。今ではそれもできなくなり、週2でポスティングをする日々。
女男男の3人きょうだいのうち、真ん中っ子の僕だけが実家に残って親のすねをかじり続けている状況は、このようにして生まれた。そして今に至る。
なお、僕も実家を出たい。親の干渉にイライラする日々を送っている。
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